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しかし,被控訴人の労務政策に変更があったのは,上記認定事実によ ると,被控訴人の経済状態を含む経済情勢の大幅な変動があり,また, 被控訴人をとりまく社会保障制度に大幅な変動があったことによるもの であると認められるのであるから,そのような労務政策の変更があった ことこそ,それは本件利率改定の必要性を基礎づけるものというべきで ある。
オ控訴人らは,既受給者もかつては老後の生活保障も励みにして労務を 提供し,被控訴人ら会社の利潤蓄積に貢献したところ,本件基本年金の 利息相当分の受給は,その労務の提供の成果に対する還元という側面も 有していること等を理由として,現役従業員との格差を問題とするのは 不合理であると主張する。
しかし,現役従業員も被控訴人の業績に貢献しているうえ,控訴人ら は,本件利率改定により利率が低下してもなお,市中金利,特に,長期 プライムレートを大きく上回っており,その分,本件制度による恩恵を 受けていると考えられるのであり,控訴人らの上記主張は採用できない。
カ控訴人らは,経済情勢の変動を示す指標として,消費者物価指数等も 重要な指標となるところ,消費者物価指数は平成8年以降極めて安定し ていると主張する。
しかし,このことを考慮にいれても,上記(1)(2)に 認定指摘した諸事情が存するのであり,本件改廃規定が規定する経済情 勢,社会保障制度に大幅な変動が存するとの認定判断を覆すことができ ない。
(4) 以上のとおり,本件改廃規定が規定する経済情勢,社会保障制度に大幅 な変動が存することが認められる。
もっとも,上記のとおり,被控訴人は, 本件改廃規定が規定する要件が認められれば,自由に本件規程を改定でき る訳ではなく,本件利率改定内容の必要性,相当性を必要とすることは, 事柄の性質上明らかである。
また,本件利率改定に当たり,本件制度は退 職労働者の福祉政策の一環として労働組合との協議のうえ発足したもので あるから労働組合に対し理解を求めることが必要であるし,また,本件年 金受給者は退職して労働組合員ではないから,不利益を受ける本件年金受 給者に対しても,本件利率改定に対し理解を求める努力をする等手続の相 当性が必要である。
以下,この利率改定内容の必要性,相当性,本件利率改定手続の相当性 につき順次検討することとする。
2 本件利率改定の内容の必要性,相当性について
上記1で認定したところによれば,被控訴人は,業績低迷の対応策として, 被控訴人従業員に「キャッシュバランスプラン」を導入し,当面年3.5% の給付利率での支給が開始されており,本件基本年金の既受給者の受給額と 現役従業員が退職後に受給しうる年金額との間に大きい格差が生じているこ と,従業員や取引先にコストダウン施策の協力を要請し,株主に対する配当 減少も余儀なくされている一方,本件制度にかかる負担額が増大し,いわば, これら現在の従業員,被控訴人の取引先や株主の犠牲のもと,本件給付利率 が高率を維持しているといっても過言でないこと,また,利率引下げ,解散 をする厚生年金基金が急増していること,さらに,金融市場における利率, 特に,平成14年当時の長期プライムレートと比較すると本件制度の給付利 率と大きくかけ離れていること,そもそも,本件制度は,未だ公的な社会保 障制度の整備が不十分であった時代に,従業員の退職後の生活の安定を図り, 退職金の運用先を提供する趣旨も含め,市場金利よりも若干有利な給付利率 による年金を長期間に渡って継続的に支給し続けるということを目的とする ものであり,現に,昭和41年に本件制度が発足した際の給付利率10%は, 当時の長期プライムレート年8.4%よりも若干高めの利率であったこと等 を総合すれば,本件制度による給付利率を一律2%程度引下げる必要性があ ったこと,そして,引き下げ後の利率は,本件制度への加入時期に応じて, 年5.5%ないし8%であり,一般金融市場における利率に比べ,なお相当 程度高い利率であること等も考えれば,控訴人らの利益を著しく損なうもの ではなく,本件利率改定は相当な範囲のものであったと認めることができる。
(したがって,将来,市中金利が本件給付利率と同程度かこれより高くなっ た場合は,本件給付利率も高く改訂されることが予想される。

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